自動車業界のソフトウェア企業で Creative Technologist として働き始めました
ryo-aです。3月末で大学院を修了し、4月1日より新卒なのか中途なのかよくわからない形態で日本橋にある自動車業界のソフトウェア企業でクリエイティブ・テクノロジスト(Creative Technologist)として働いています。
この記事はryo-a個人による日記であり、会社やチームなどの公式見解を示すものではありません。
筆者について
あまりストレートな進路を歩んでいないのでキャリアパスとしては参考にならないかもしれません。
まず、アカデミックな分野で Computer Science や Art のバックグラウンドを持っているわけではありません。慶應義塾大学の商学部→経済学研究科を経ており、いわゆる「文系」の出身です(私自身は文理区分というものが好きではありませんが……)。
なんで商学部や経済学研究科を経てこの職種なのか?という話はかなりの頻度で聞かれるため、軽く説明しておこうと思います。フルで説明すると長すぎるので要約すると
- 幼少期にワープロを触る
- 幼稚園児のときにWindows98のPCに触れ、コンピュータにのめり込む人生が開始
- 中高時代はプログラミングやデザインをして遊んでいた
- やりたいこと・得意科目の兼ね合いから大学受験では文系学部を志す(冷静に考えるとここでCS系に行くべきだった)
- 大学受験は2浪したものの上手くいかず、特に希望していなかった学部(商学部)に進学
- 得意科目で選んだだけの学部でした
- サークル活動ではプログラムを書いたりデザインしたりして遊んでいた
- 商学部でやりたいことが見つからず、ビッグデータを扱う経済学部のゼミに入る(いわゆるデータサイエンス領域)
- そのまま修士に行くが、どうやらデータサイエンスには向いてないことに気付き、データサイエンティストではなくソフトウェアエンジニアとしての就活を考えていた
- ソフトウェアエンジニアとしてのスキル+今までの経験を使える仕事を見つけた
という感じです。かなり右往左往しています。
どういう会社?
主に自動運転ソフトウェア研究開発、スマートシティのの関連事業を行っているところです。
なぜこの会社を選んだのか
理由は2つあります。
- 自分のスキルセットに合致しているポジション(Creative Technologist)があったから。
- ソフトウェアエンジニアリングという単独の領域ではなく、デザインやハードウェアなど複数の領域に関わる組み合わせて新しいものを作りたかった。
- ちなみに他社の新卒内定はWeb系のエンジニア(バックエンド)でした。単体の領域でもお仕事はできると思いましたが、せっかくなら全部を組み合わせたいという思いがありました。
- 「すべての人にとって、移動に関する障壁がなくなってほしい」「人々が様々なリスクに対して、より安全に暮らせるようになってほしい」という願いを持っている自分にとって、会社のビジョンが強く共感できるものだったから。
- "We’re On a Mission to Achieve Safe Mobility for All"
- part-timeで応募したときにWebサイトに掲載されていたスローガン/タグラインです。これ見て応募を決めたんですよね。今でも好きだなあ、この言葉。
- また、ビジョンだけでなくそれを支える確固たる技術が会社にあること。
- "We’re On a Mission to Achieve Safe Mobility for All"
入社の経緯
修士課程在学中の2020年8月より、UXチームでpart-timeのAssistantとして同じ会社(当時は別社名)で仕事をしており*1、その中で自分の技術スタックにマッチしていると感じたCreative Technologistのポジションに夏ごろに応募し、2021年10月にoffer(≒内定)を頂きました。
少なくとも私が応募した2021年度の時点では弊社に新卒採用はなく、経験などを鑑みて外部扱い・中途のhiringプロセスに載せていただくことになりました。 ただ、一般的な日本の大学院生の「就活」としては大変な面がありました(タイミングやプロセスが全く違うため、並行するのが非常に難しいです)。長期にわたって内定を保留した上、最終的に辞退することになった他社さんにも本当に申し訳なかったですし、私の進路を快く祝福いただいたことには筆舌に尽くしがたいほど感謝しております。
弊社ではリファラルや内部からのtransition応募であってもすべて外部の応募者と同等のプロセスを踏むようです。他でプロフェッショナルとしての経験を積んできた中途の候補者と比較されるわけで、普通に落ちる可能性も高いと感じていましたし、applyするときにHRから「優遇とかは特にないので、そこはご了承ください」という話をされていました。応募以降はかなりヒヤヒヤしながらpart-timeでの仕事を続けていました。今でこそ笑い話ですが、秋頃は本当に「応募しといて落ちたらどういう顔で3月までpart-timeで働き続ければいいんだろう……」と思いながら仕事をしていました。
Creative Technologistとは?
Creative Technologistという職種を聞いたことはありますか?大丈夫です、ご安心ください。私も聞いたことがありませんでした。広告代理店などには一定数いらっしゃるようです。 聞き慣れないものかもしれませんが、正式なjob roleですし、名刺もこれです。
Creative Technologistに関してはいろいろな表し方があると思うのですが、「何やってるの?」と聞かれたときに私は「ソフトウェア、ハードウェア、視覚的デザインといった、幅広い分野の技術と知見により、領域を超えて新たなアイデアを形にするエンジニア」と説明しています。少しカッコつけてみましたが、雑に言ってしまえばなんでも屋さんかもしれません。また、ゲーム業界やクリエイティブ業界の方には「テクニカルアーティストのもう少しエンジニア寄り」と説明しています。会社によってもやっていることが違うと思うのですが、弊社の場合は実装をガッツリやります。
具体的にうちのチームではこんな面白いことやっているんだよ!という話は大量にあるのですが、機密情報なので言えないのがもったいないところ……。
公開されている情報の範囲で言及できるものとして、現在openとなっているSenior Creative TechnologiostのJob Descriptionから引用します。こちらから技術スタックなどがある程度わかるのではないかな?と思います。
- MINIMUM QUALIFICATIONS
- Master’s degree or 8+ years equivalent practical experience
- 5+ years production experience working as a Creative Technologist
- 2+ years working with a UX Team
- Strong verbal and written communication skills
- Proven C# , Python, and JavaScript skills
- Expert knowledge of Unity
- Production experience using 3D software such as Maya or Houdini
- Proven scenario design skills - a portfolio of projects you’ve worked on will be required
- Fast learner and quick to adapt to new technologies
- A positive can-do attitude and a very good sense of humor
- PREFERRED QUALIFICATIONS
- Experience working in the vehicle industry
- Documentation and Information Architecture expertise
- Creative problem solver that is always seeking multiple perspectives
私が採用されたのはSeniorではないレベルのCreative Technologistのポジションで、要求される年数は違うものの、概ね同等の内容だったと記憶しています。
お仕事する環境について
以下はUXチームについての話です。多分チームによって異なる場面もあると思うので参考程度に、という感じです。
レベル
当たり前ですが周囲のエンジニアのレベルがめちゃくちゃ高くてビビっています。頑張らねば……。
待遇
いわゆる「外資系IT企業」に準じた給与水準・評価体系だと理解しています。ポジションや経験によって給与は大きく異なるはずですが、現時点の自分自身としては満足できる待遇をもらっていると思います。
もちろん給与はポジションや経験による差があるので「思ってたより高い」「思ってたより低い」はあるかもしれません。
労働時間
現時点での私はコアタイムなしのフレックスです。
フレックスとはいえ、北米メンバーとのミーティングが設定されると朝8時台にビデオ会議しなければならないこともあるため、朝が苦手な人はちょっと苦労するかもしれません。ただ、本社が日本なので日本時間で無理のある時間にミーティングが設定されるケースはあまり見かけません。
社内での英語コミュニケーションについて
社内のコミュニケーションは基本的に英語です(チームによるかもしれません)。 (私は社内公用語を英語とする会社を他に経験していないので、もしかしたら他社でも当たり前だよという事も多いかもしれませんが、私が感じたことを書いておきます。)
Slackでの連絡は基本的に英語ですが、重要な連絡(全社アナウンスなど)については日英が併記されます。専任の通訳さんも在籍されており、必要であればお呼びすることもできるようです(お呼びしたことはないのですが……)。
私の所属するUXチームはほとんどの方が海外出身のため、日本語が使われる場面はかなり限定的です。
ただし、日本語母語話者同士であれば日本語コミュニケーションを行うこともあります。しかしながら1人でも非日本語話者が交じる場合(例えば2名の日本人で話しているところに非日本語話者の方がいらっしゃった場合など)では、自然と会話が英語にスイッチします。
ちなみに私はpart-timeで入社した際、在外経験が海外旅行を含めてゼロだったので(いわゆる受験英語の経験のみ*2)、ちょっと苦労しながら英語の環境に順応していきました*3。数ヶ月もすればビジネス面ではfluentではないもののきちんと話せるようになりましたし、1年もすれば雑談なども英語で諸々話せるようになってきたので、人間なんとかなるもんだなと思いました。もちろんbrokenな英語を喋っているだけなので、とても褒められたものではないかもしれませんが*4。
また、フルタイムであればDojoという教育プログラムが利用でき、社内で英語・日本語の講義が実施されています。
今後ともよろしくお願いいたします。頑張ってまいります。
脚注
クリスマスにベルーガを追うということ(その2)
大きな飛行機を追いかけた話の続き。宿と、神戸空港のこじんまりとしたラウンジで書いた記事。 なお、オタクゆえに航空機に関するマイナーな話が出てきてしまうのだが、細かい部分は読み飛ばしても差し支えない記事となっている。
- 2021年12月23日、夜の続き。
- 2021年12月23日、宿へ。
- 2021年12月24日、朝と昼。服とBE KOBE。
- 2021年12月24日、離陸。
- 2021年12月24日、ベルーガが来るはずだったのに……。
- 脚注
2021年12月23日、夜の続き。
この日、羽田(HND)から神戸(UKB)に向かうNH415便はエアバスA321neo(JA134A)で運航された(FR24)。
A321に乗るのは初めてかもしれないが、A320と大差ない気がするためワクワク感があんまりない*1。 とりあえず非常口座席が空いていたので24Kを指定した。単通路機だしA320とそんな変わらないだろう、足が伸ばせたらいいな、と。
よく考えたらこのシートマップの段階で気づくべきなのだが、実は妙な席を予約してしまったのである。
A320のノリで非常口座席にしよーって予約したら変則的配置でビビってる pic.twitter.com/j4xXvqUBNA
— Vitya(ryo-a) /d-pnd (@geo_vitya) December 23, 2021
R3ドア*2のジャンプシート*3の前である。A320では非常口といえば単に足元が広い座席といった程度でしかないのだが、A321はそうでもないらしい。
個人的にジャンプシート前はちょっと苦手なため*4、今後は気をつけようと思う。A321乗る機会どれくらいあるかわからないけど。
とはいえブロックタイム*5で1時間15分程度、あっという間に着くのでさほど問題ではない。
到着したらデッキに向かう。なるほど、すでに航空ファンが集結している。 イルミネーションは展示されているが、クリスマスのムードなんてものはまったくない。
綺麗なイルミネーションだと思うじゃん いまここにいるの全員航空ファンです みんな一眼レフ持ってる pic.twitter.com/qXop3eAqks
— Vitya(ryo-a) /d-pnd (@geo_vitya) December 23, 2021
そしてベルーガ、4Y8004便はどこだ。FR24を見るとどうやら韓国・仁川国際空港(ICN)に向かっている気配がある。 というのもこれは覚悟済みで、FR24で表示されていた「神戸空港への到着時間」が明らかに神戸空港の門限(23時)を過ぎているのである。
ベルーガは高度を下げ、ICNへのアプローチコースに乗った。今日は来ないことが確定した瞬間である。
#4Y8004 seems diverted to RKSI due to the curfew of RJBE pic.twitter.com/tcivFTo8BP
— Vitya(ryo-a) /d-pnd (@geo_vitya) December 23, 2021
このときは神戸空港に降りることができそうにないため、ダイバート(目的地変更)をしたのだと思っていたが、どうやらこの経路は計画的だったという説が濃厚である。このように、定期便以外に関する情報はFR24を信用できるわけではないため、これから先はいわゆる「高度な情報戦」に巻き込まれていくことになる。
ICNへの着陸を見届けると、足早にポートライナーへ向かった。
2021年12月23日、宿へ。
宿はポートアイランドのアリストンホテル神戸を予約した。神戸空港に近い中でコストパフォーマンスが良かったから、というのが理由である。 古めだけど広くてよかったのでリピートしても良さそうだけど、神戸空港に用事がない限りは三宮近い方が便利かもしれない。
ホテルの最寄り駅について降りたが、夜の人工島ってちょっと怖い。 人がいないし、なにせ暗い。自分はそんな怖がりではないはずなんだけど。
マジで誰もおらん空間 pic.twitter.com/FTPLgjROyL
— Vitya(ryo-a) /d-pnd (@geo_vitya) December 23, 2021
到着後、コンビニで弁当を買い、風呂を沸かして寝た。ちなみに風呂はミスってお湯が溢れた。
2021年12月24日、朝と昼。服とBE KOBE。
5時台に起床してICN周辺でそれらしきフライトが無いかを確認した。なさそうだった。 とはいえICNから神戸空港(UKB)は1時間程度、準備を考えるとあまり時間がないのでいつでも出発できる体制を整える。
朝9時ごろの時点でICNのベルーガに動きがなく、長期戦になることを覚悟して延泊を決めた。まずは+1泊。 さて、やっとここで出てくるのがクリスマスである。そう、年間通して屈指のハイシーズン。宿泊料金が前日の2倍になるが、22年ぶりのベルーガのためなら仕方がない……。
あとはカメラ以外手ぶらで来たため、そろそろ服の調達をしないといけない。服買ってる間に飛んでくるなよ……と思いながら三宮のGUに向かった*6。
荷造りの高速化を支える現地調達(実際今シーズンの服が足りてなかったしちょうどいい機会ではあった) pic.twitter.com/gUbSkDG9Uj
— Vitya(ryo-a) /d-pnd (@geo_vitya) December 24, 2021
ここで突然、観光らしいこと……具体的には BE KOBE がしたくなった。あれって「する」ものなんですかね?いや、でもまあ「する」っぽい気が自分の中ではある。 BE KOBEとはメリケンパークに設置されている神戸の有名観光地(モニュメント)で、神戸のシビックプライド・メッセージである。 昨今、各地に増加している「巨大アルファベットモニュメント」の嚆矢であろう。
わたしは「BE KOBEする」と冗談っぽく言っているが、実は力強いこのメッセージが大好きだ*7。 BE KOBEを参考に作られたであろう、ほかの観光地巨大アルファベットはメッセージ性をどれほど真剣に考えているんだろうかとふと疑問に思う。
その後、なんか強そうな消防車がいっぱい並んでいた。子供みたいな感想で恐縮だけどそうとしか表せない。消防車に詳しくないのでこうなってしまう*8。 聞くと、どうやら出初式のリハーサルだそうだ。
なんかカッコいいのがおるな…? pic.twitter.com/WXroQVt3Oo
— Vitya(ryo-a) /d-pnd (@geo_vitya) December 24, 2021
あとは噴水の写真を撮って遊ぶなどもした。150-600mmのレンズで噴水を撮っていたので不審感は拭えないと思うが、一人旅なのでヨシ*9。
噴水。 pic.twitter.com/dogJiAmOs6
— Vitya(ryo-a) /d-pnd (@geo_vitya) December 25, 2021
2021年12月24日、離陸。
メリケンパークを後にしたそのとき、FR24の通知が入る。ベルーガが4Y8005便としてICNから離陸したとのことである。今度こそ神戸に来るらしい。 どうやら所要時間は1時間~2時間程度のようだ。余裕がないとはいえないが、一応早めに空港に着いておきたい。
メリケンパークから駅まではかなり距離があるため、タクシーを捕まえて一旦ホテルに戻ることにした。金銭感覚、すまない……今日だけは君のことを忘れるぞ……*10。 とりあえずここでカメラを回収して空港にポートライナーで向かう。
それはそうと4Y8005便は当初、行き先が大変面白いことになっていた。OBE……フロリダ州のOkeechobeeとなっていたのである。 これはOkeechobeeの空港コードがIATAコードではOBE、ICAOコードではKOBEとなっており、おそらくデータ入力者の誰かがKobe Airportをサジェストで叩こうとしてKOBE (Okeechobee) を入れてしまったのだろうと思われる。その後、程なくしてUKB/RJBEに修正された。
ICAOコードでKOBEって入れるとアメリカの空港 OBE が出ちゃうのよ(誰かが入力ミスったんでしょう)#beluga #BGA8005 pic.twitter.com/WeOlxsrabi
— Vitya(ryo-a) /d-pnd (@geo_vitya) December 24, 2021
2021年12月24日、ベルーガが来るはずだったのに……。
デッキに着いた。胸の高鳴りが凄まじく、何らかの試験に挑むときのような気分だった。
各地から駆けつけた航空ファンたちによってデッキは埋まっており、場所を確保するのも大変だった。
デッキでスマホを開き、FR24を見る。岡山上空、そろそろだ。
あれ、ベルーガさんなんか高度ちょっと高くないですか。神戸ってこんな進入方式だっけ。
あっ……これ……関空への進入経路(MAYAH ARRIVAL)っぽくない……?神戸来ないんじゃない……?
4000ftでウェイポイント「MAYAH」を通過した瞬間、上空を通過していく大きな機体が目に入った。
アァー(神戸空港上空を通過して関空に行ってしまわれました)#4Y8005 #BGA8005 pic.twitter.com/228GKOo3OS
— Vitya(ryo-a) /d-pnd (@geo_vitya) December 24, 2021
絶望する神戸空港の展望デッキ。そういえば地元局のテレビクルーもいましたけど大丈夫ですかね、怒られてないといいけど。
神戸空港は基本的に国内線用の空港で、CIQ設備が充実していない。そのため、一旦関西国際空港に降りたのだという。 ちなみにこのパターンは神戸空港にヘリコプターを輸送した他の機体でも実績があるらしく、その勘があった地元の航空ファンはFR24の「神戸行き」を無視して関空に張っていたらしい*11。
ということで読みを外した、あるいはFR24に踊らされたとも言える私の撮影は翌日に持ち越しとなる。 今回はここまで。
脚注
*1:A321というのはA320の胴体を延長した機種である。基本設計に大きな差はない。
*2:右側で前から3番目のドア
*3:保安要員であるキャビンクルーが、担当する非常口ドアの横に着座するための座席のこと。
*4:保安上の理由は承知なのだが、正面にこちら側を向いた他人が座っているというのがあまり得意ではないのかもしれない。離着陸時のみであるが。
*5:飛行機が出発地の空港で動き出してから、到着地の空港で止まるまでの時間
*6:と言いつつ、即時空港に戻るための体制は整えていた
*7:観光キャッチコピーではなく、市民に向けたメッセージなのである。そこがまた良い。
*8:逆に、航空機に詳しくない人が「エアバスA300-600ST ベルーガ」を「なんかでっかい飛行機」となるのもよく分かる
*9:一人旅は自分ひとりが不審者になれば済むが、二人以上であると「不審者の同行者」という扱いが同行者に及ぶ問題があり、客観的にヤバそうな行動は控えている。
*10:22年ぶりだ、という言い訳がある
SMSで届く、短縮URLの「kps.ms」って何?(結論:スパムではなさそう)
結論から先に書くと、kps.ms はスパムではないと判断できる。 非常に怪しいドメインと同じような見た目をしているが、実体はNTTの子会社が運用しているサービスから送信されたものである。
ただし、kps.msを騙った(似せた)ドメインのスパムが登場する可能性は否定できないし、そもそも kps.ms が悪用される可能性もゼロではないことには留意が必要であろう。
筆者もこのドメインに遭遇した際はかなり戸惑ったので、調べたことを載せておく。結論以外も気になる人は読んでいただけると幸いである。
続きを読む金沢競馬で冠レース(個人協賛競走)を実施した話 (2021年4月時点)
競馬や競輪、競艇、オートレースなど公営競技には「個人協賛競走」という概念がある。要はレース名のネーミングライツで、地方競馬などでは個人でもこれを購入(協賛)できる。 個人協賛競走自体は十数年前から実施されており、アニメファンなどによる「痛レース」でも知られている。 この仕組みの詳細については解説サイトが多数あるのでそちらをご覧いただきたい。
今回は金沢競馬で冠レースを実施させていただいた際の記録である。
実施したレースと動機
JA1YCG アマチュア無線応援杯(2021年5月2日、金沢競馬)
JA1YCGというのは私が所属している(半ばOBだが)アマチュア無線の大学社団局である。
どうやら新入生が入らないらしく、何か知名度を上げる方法はないかと模索し、有志で今回のレースを実施した(なお、効果は……)。
後述するが、競馬場によっては1万円+諸経費で協賛レースを実施できる。思っていたよりもかなり安価である。
冠レースを実施するとどうなるのか?
- 競馬場でレース名が掲示され、実況でレース開始時に読み上げられる
- 一部の競馬新聞にレース名が記載される
- 競馬データベースサイトに掲載され、ずっと残る
競馬場の選定
個人協賛競走は各競馬場が独自に実施しているもので、料金、申し込み方法、文字数など競馬場によって制度が大きく異なる。 文字数や費用についてはBTNRさんの記事が参考になったのでこれを一読することをおすすめする。
文字数や料金以外の面もいくつか差がある。例えば……
- 高知競馬場(協賛レースの例)
- 名物アナウンサーが「協賛理由」を読んでくれる
- 発馬機の上の液晶画面にレース名が表示される
- 金沢競馬場
- YouTube公式中継や、現地のディスプレイに事前提出した画像を表示してくれる
- 協賛理由の読み上げ・表示はない
- 帯広ばんえい競馬(協賛レースの例)
- ネットから協賛をかんたんに申し込める(オンラインでほぼ完結)
- 中継で協賛理由の読み上げあり
などである。 レース中の様子は各競馬場で実施された冠レースを見るとわかるので、事前に「○○競馬場 冠レース」などで動画投稿サイトを検索してみるのもよいだろう。
また、記念日などに実施したい場合は各競馬場のレース開催日にも注意が必要である。概ね新年度になる頃には、各競馬場でその年のレース開催日が決まっている……ように思われる。
今回はレース名の文字数が多かったことから金沢競馬場を選定した。
以下の内容は2021年春時点のものであり、変更される可能性があるので、実際に申し込む場合は十分注意されたい。
金沢競馬の申し込み手続き(申込書)
最新の申込み要項は以下の公式サイトで確認できるので、申込みの際は直接確認されたい。 冠レース募集 | 金沢競馬 Official Website -KANAZAWA Horse park-
金沢競馬の場合、基本的には郵送である。郵送といっても公式サイトに用意されている申込書(PDF)を埋めるだけでよい。 とはいえ、初見だと戸惑うところがあるので、金沢競馬場に電話で質問した際の回答などを含め、以下に補足事項を示すので参考にしていただきたい。 (ただし、時期によって申込手順などが変わっている事はありうるので、必ず公式サイトの記載を優先していただきたい)
希望レース日・希望レース番号
レース番号は希望がある場合は記入すればよいが、「とにかくこの日に冠レースを実施できればそれでいい」など、特に希望がない場合は「希望なし」と記入すればいいとのこと。 今回は希望しなかったところ、第7レースとなった。
今回は日付は記入したが、こちらは空欄にできるかどうかは分からない。最低でも日付は希望しておいたがスムーズな気がする。
冠レース名称
今回は以下のように記入した。
ただし、少なくとも金沢競馬は公式サイトの「冠レース募集要項」には2021年時点で以下のような記載があるので注意が必要である。 要は、商標や著作権、著名人の名前などが関わる「痛レース」を(無断で)実施するのは不可能とのことであろう。
実際、今回も電話で「JA1YCGというのは何を示すものでしょうか?権利的にレース名に使用してもOKですか?」と確認があった。今回は「私たちが所属しているサークルの"無線局"としての符号で、無線界におけるアドレスのようなもの。特に商標や権利などは発生していない」旨を返答した。 紛らわしいものについては、申し込みの段階でレース名に使用しても問題ないことを示す書類か何かを同封しておくとトラブルが減るかもしれない。
なお、競馬情報サイトの大手である netkeiba.com では、以下のようにレース名が10文字に省略されて表示されることがある。そのため、「ネットで映えたい」ようなケースでは、アピールしたい要素(団体名・人名)を先頭から10文字までの間に入れておくと良いだろう。
また、当日の中継や競馬場のオッズ画面で示されるレース名も先頭6文字までしか表示されないので、併せて要注意である。
副賞について・副賞の提供方法
ちょっと分かりづらいが、金沢競馬の場合は事実上「副賞=協賛料金」である。 騎手への副賞となる商品券を協賛者が自分で購入し、それがそのまま騎手に渡されるという仕組みになっている。
金額は個人の場合2021年時点で1万円分である。最新の情報は公式サイトで確認されたい。
申込書には提供方法を記入する欄があるが、基本的には郵送でよいと思う(筆者は簡易書留で、VJAギフトカードを送った)。 規定上は「競走の前日までに到着」となっているが、申し込み書類に同封して早めに到着させても問題ないのではないかと思う。
来場について
申込書にはレース当日の来場有無を問う欄がある。来場せず、遠隔から中継を見守るというスタイルも問題ないようだ。
また、「あり」に記入したからといって、必ず来訪しなければならない訳ではないとのこと(ただし、副賞当日持参の場合は必須となるだろう)。
私は「来場あり」と記載しつつも、新型コロナウイルス感染症の拡大状況によっては取りやめるつもりだがどうすればよいか判断を仰いだところ、「来訪を中止する場合は連絡不要」との答えを頂いた。(実際、申込後に緊急事態宣言が発令されたことや、大学の活動制限が解除されなかったことにより、残念ながら来訪を中止した。)
ただ、逆に「来訪なし」から変更するのは大変だと思うので、「状況次第では行きたい」程度でも「あり」にしておく方がよいだろう。
色紙・レース映像について
申込書で「勝利騎手サイン色紙」や「レース映像」を希望すると、1着となった騎手のサイン色紙やレースの映像を記録したDVD/ブルーレイを送付してもらえる。自分の場合、レース終了から約1週間程度で届いた。 追加費用は不要なので、記念品が欲しい場合は希望しておくとよいだろう。
大型映像装置へのメッセージ・画像
ここはやや分かりづらいところで、確認の電話を入れた。
基本的には「大型映像装置へのメッセージ掲載」に記入した文字を、「大型映像装置への画像掲載」で添付した画像の上に重ねて(加工して)表示してくれるとのことである。画像編集の手段を持たない場合はそれが楽であろう。
だが、自分で画像編集ができる場合、メッセージ込みの画像を添付してよいとのことである。今回は以下のように記入した。
画像作成・送付手順については後述する。
競走番組表への冠レース名称の由来やエピソードの掲載
当日現地で配布される競争番組表(レース一覧表)に記載するためのメッセージである。 遠隔地から観戦する場合、後日送付されてくる。
申込書では以下のように記載した。
現物は以下のようになる。
画像の作成と送付
競馬場で投影・YouTube中継で放映されるのは16:9の画像である。解像度は不明だが、フルHD(1920x1080)で作成・送付すれば十分だろう。
今回は以下のような画像を作成した。あまり文字数が多くても表示されている間に読んでもらえないので、適宜抑えるとよいだろう。
さて、画像を添付するためのメールアドレスが申込書に記載されているのだが、容量を削減してもエラーで跳ねられ、何故か受信してもらえなかった。 そのため、今回はUSBメモリを送付して対応した。もし、メールのエラーに悩まされる場合はUSBメモリという手段も(イレギュラーだと思うが)あることを覚えておいてよいだろう。ただし、USBメモリは返送してもらうと金沢競馬さんに手間をかけてしまうので、「使用後はUSBメモリを破棄して大丈夫です」といった手紙を添えておくとスムーズだろう。
レース前
確認電話
無事に申し込みが完了すると、申し込み締切日の数日後くらいに金沢競馬さんから確認の電話が入る。書類発送のスケジュールなどを教えてもらえる。 また、状況によっては何度か電話でやり取りをすることになる。
書類の発送
県営金沢競馬なので、「石川県」と書かれた封筒が届く。 今回のケース(5月2日に実施されるレース)で、4月29日に到着したので、わりと直前である(金沢競馬の方も「直前となって申し訳ないですが」とおっしゃっていた)。
内容は金沢競馬のパンフレットや関係者席の入場に必要な書類、レース実施を知らせる書類などである。
Web への掲載
およそレース2~3日前になると、競馬を取り扱った各種Web媒体にもレース名が記載される。 以下にその例を示す。迷ったら各種サイトの「出馬表」を探すとよいだろう。
ちなみに、各種データベースにもきちんと1つのレース情報として記録されるため、状況によっては天皇賞(春)など有名レースと並んで表示されることもある。
レース当日
ちなみに冠レースを実施しただけでは(よほど企画やレース名が面白いわけでない限り)そんなにバズらないので、関心を持ってくれそうな人に事前に告知しておくのがよいと思う。
予想紙の購入
予想紙(競馬新聞)とは、出走馬の過去の動向や近況、レースコンディションなどの相性を踏まえてそのレースの予想をする専門新聞である。中央競馬のものはコンビニでも販売されているので、競馬に馴染みのない人でも見たことがあるかもしれない。ここにもレース名が記載される。
地方競馬の予想紙はその地域でしか販売されていないのだが、セブンイレブンなどのオンデマンドプリントを用いることによって全国どこからでも購入できる。前日夜or当日になると販売が開始される。 金沢競馬の場合、「競馬カナザワ」「競馬ホクリク」など数種類あるので、好きなものを買ってみるとよいだろう。
YouTube 中継
金沢競馬の場合、公式チャンネルで中継が実施されている。アーカイブも残るようである。
送付した画像は以下のように表示される。
なお、以下のレース開始時の字幕画像はこちらでは作成していない。金沢競馬の担当者さんがレース名などを基に、レースごとに作っているようである(ありがたい)。
レース実施後
レース終了から1週間程度で、再び石川県からの封筒が届く。希望した場合、勝利騎手の色紙も同封されてくる。
まとめ
千円札を破損してしまったので日本銀行本店に持っていって交換した体験談
紙幣が破損した
財布に雑に紙幣を放り込み、そのまま財布をポーチに入れたところ、ポーチのファスナーで紙幣を挟んでしまった。
派手に「破れた」とまでは言えないが、紙幣の右下が欠けている。この状態の紙幣を受け取る店員さんは嫌だろうし、自販機やレジなどでトラブルを起こしてしまう可能性も高そうだ。
日銀に持っていけばいいらしい?
紙幣が破れたら日銀に持っていくと交換できるらしい、というのは小さい頃に聞いたことがある。当時のバラエティ番組かなんかで言っていたはずだ。
幸いにも現在アルバイトしている場所が日銀本店の近所なので、休憩時間にでも持っていこうと思い立った。日銀に行く機会なんてなかなか無いので、ついでにブログのネタにしようという魂胆もある。
交換できる紙幣の条件
日銀が公式サイトで条件を分かりやすく示してくれているのでこちらを参照されたい。 今回の破損は右下が破れているだけなので全額交換できるはずだ。 www.boj.or.jp
日銀に行く
1. 予約する
どうやらふらっと訪れて交換してもらえるというものではなく、予約が必要らしい。
損傷したお金をお持ち込みになる場合には、事前のご予約をお願いしています。このため、事前に日本銀行の本支店にご連絡頂きますよう、ご協力をお願いします。日本銀行の窓口では、ご本人の同意を得たうえで、本人確認を行わせて頂きます。つきましては、運転免許証などの本人確認書類をお持ち頂きますようご協力の程お願いします。
ということで上記サイトで公開されている番号に電話をする。9:00~15:00が取り扱い時間らしく、その間に掛けるのが良いだろう。 電話では氏名、破損した紙幣の金額及び枚数、破損の経緯を聞かれた。「1枚で申し訳ないのですが……」と言ってしまったのだが、よく考えると逆に大量に持ち込まれる方が大変な気もする。
中央銀行は客を相手にするものではないし、お役所仕事だろうと思いこんでいたが、かなり丁寧に対応してくれた。
2. 日銀本店 北門に行く
本店の場合、破損紙幣の受付は北門から入る。
強盗に車両で突破されるのを防止するためだろうか、厳重なゲートが設置されていた。
(これ以降、常に警察官or警備員が同行する形となるため写真は撮影していない。明示的に撮影禁止と言われてはいないが、おそらく不可能だろう。)
北門に入ろうとすると、すかさず警備員の方から「どういったご用件ですか」と聞かれるが、「破損紙幣の交換です」と伝えると速やかに案内してくれる。 北門を入って右奥の玄関では空港と同様の手荷物検査が行われ、これをパスすると晴れて日銀本店への入場が許可される。
本店に入ると、まるで映画のような重厚な空間が広がる。その中には警備員だけではなく、警視庁と書かれた腕章を付けた警察官もいた。
奥の方にある27番窓口に向かい、紙幣を渡して必要事項を記入する。住所が確認できる顔写真付きの身分証明書を求められる。
手続き後、番号札を渡される。枚数や破損状況によると思うが、自分のケースであればさほど時間が掛からず、数分で新しい紙幣に交換してくれる。
不幸にも紙幣が破れてしまった場合、経験として日銀を訪ねてみるのも悪くないだろう。