自動車業界のソフトウェア企業で Creative Technologist として働き始めました
ryo-aです。3月末で大学院を修了し、4月1日より新卒なのか中途なのかよくわからない形態で日本橋にある自動車業界のソフトウェア企業でクリエイティブ・テクノロジスト(Creative Technologist)として働いています。
この記事はryo-a個人による日記であり、会社やチームなどの公式見解を示すものではありません。
筆者について
あまりストレートな進路を歩んでいないのでキャリアパスとしては参考にならないかもしれません。
まず、アカデミックな分野で Computer Science や Art のバックグラウンドを持っているわけではありません。慶應義塾大学の商学部→経済学研究科を経ており、いわゆる「文系」の出身です(私自身は文理区分というものが好きではありませんが……)。
なんで商学部や経済学研究科を経てこの職種なのか?という話はかなりの頻度で聞かれるため、軽く説明しておこうと思います。フルで説明すると長すぎるので要約すると
- 幼少期にワープロを触る
- 幼稚園児のときにWindows98のPCに触れ、コンピュータにのめり込む人生が開始
- 中高時代はプログラミングやデザインをして遊んでいた
- やりたいこと・得意科目の兼ね合いから大学受験では文系学部を志す(冷静に考えるとここでCS系に行くべきだった)
- 大学受験は2浪したものの上手くいかず、特に希望していなかった学部(商学部)に進学
- 得意科目で選んだだけの学部でした
- サークル活動ではプログラムを書いたりデザインしたりして遊んでいた
- 商学部でやりたいことが見つからず、ビッグデータを扱う経済学部のゼミに入る(いわゆるデータサイエンス領域)
- そのまま修士に行くが、どうやらデータサイエンスには向いてないことに気付き、データサイエンティストではなくソフトウェアエンジニアとしての就活を考えていた
- ソフトウェアエンジニアとしてのスキル+今までの経験を使える仕事を見つけた
という感じです。かなり右往左往しています。
どういう会社?
主に自動運転ソフトウェア研究開発、スマートシティのの関連事業を行っているところです。
なぜこの会社を選んだのか
理由は2つあります。
- 自分のスキルセットに合致しているポジション(Creative Technologist)があったから。
- ソフトウェアエンジニアリングという単独の領域ではなく、デザインやハードウェアなど複数の領域に関わる組み合わせて新しいものを作りたかった。
- ちなみに他社の新卒内定はWeb系のエンジニア(バックエンド)でした。単体の領域でもお仕事はできると思いましたが、せっかくなら全部を組み合わせたいという思いがありました。
- 「すべての人にとって、移動に関する障壁がなくなってほしい」「人々が様々なリスクに対して、より安全に暮らせるようになってほしい」という願いを持っている自分にとって、会社のビジョンが強く共感できるものだったから。
- "We’re On a Mission to Achieve Safe Mobility for All"
- part-timeで応募したときにWebサイトに掲載されていたスローガン/タグラインです。これ見て応募を決めたんですよね。今でも好きだなあ、この言葉。
- また、ビジョンだけでなくそれを支える確固たる技術が会社にあること。
- "We’re On a Mission to Achieve Safe Mobility for All"
入社の経緯
修士課程在学中の2020年8月より、UXチームでpart-timeのAssistantとして同じ会社(当時は別社名)で仕事をしており*1、その中で自分の技術スタックにマッチしていると感じたCreative Technologistのポジションに夏ごろに応募し、2021年10月にoffer(≒内定)を頂きました。
少なくとも私が応募した2021年度の時点では弊社に新卒採用はなく、経験などを鑑みて外部扱い・中途のhiringプロセスに載せていただくことになりました。 ただ、一般的な日本の大学院生の「就活」としては大変な面がありました(タイミングやプロセスが全く違うため、並行するのが非常に難しいです)。長期にわたって内定を保留した上、最終的に辞退することになった他社さんにも本当に申し訳なかったですし、私の進路を快く祝福いただいたことには筆舌に尽くしがたいほど感謝しております。
弊社ではリファラルや内部からのtransition応募であってもすべて外部の応募者と同等のプロセスを踏むようです。他でプロフェッショナルとしての経験を積んできた中途の候補者と比較されるわけで、普通に落ちる可能性も高いと感じていましたし、applyするときにHRから「優遇とかは特にないので、そこはご了承ください」という話をされていました。応募以降はかなりヒヤヒヤしながらpart-timeでの仕事を続けていました。今でこそ笑い話ですが、秋頃は本当に「応募しといて落ちたらどういう顔で3月までpart-timeで働き続ければいいんだろう……」と思いながら仕事をしていました。
Creative Technologistとは?
Creative Technologistという職種を聞いたことはありますか?大丈夫です、ご安心ください。私も聞いたことがありませんでした。広告代理店などには一定数いらっしゃるようです。 聞き慣れないものかもしれませんが、正式なjob roleですし、名刺もこれです。
Creative Technologistに関してはいろいろな表し方があると思うのですが、「何やってるの?」と聞かれたときに私は「ソフトウェア、ハードウェア、視覚的デザインといった、幅広い分野の技術と知見により、領域を超えて新たなアイデアを形にするエンジニア」と説明しています。少しカッコつけてみましたが、雑に言ってしまえばなんでも屋さんかもしれません。また、ゲーム業界やクリエイティブ業界の方には「テクニカルアーティストのもう少しエンジニア寄り」と説明しています。会社によってもやっていることが違うと思うのですが、弊社の場合は実装をガッツリやります。
具体的にうちのチームではこんな面白いことやっているんだよ!という話は大量にあるのですが、機密情報なので言えないのがもったいないところ……。
公開されている情報の範囲で言及できるものとして、現在openとなっているSenior Creative TechnologiostのJob Descriptionから引用します。こちらから技術スタックなどがある程度わかるのではないかな?と思います。
- MINIMUM QUALIFICATIONS
- Master’s degree or 8+ years equivalent practical experience
- 5+ years production experience working as a Creative Technologist
- 2+ years working with a UX Team
- Strong verbal and written communication skills
- Proven C# , Python, and JavaScript skills
- Expert knowledge of Unity
- Production experience using 3D software such as Maya or Houdini
- Proven scenario design skills - a portfolio of projects you’ve worked on will be required
- Fast learner and quick to adapt to new technologies
- A positive can-do attitude and a very good sense of humor
- PREFERRED QUALIFICATIONS
- Experience working in the vehicle industry
- Documentation and Information Architecture expertise
- Creative problem solver that is always seeking multiple perspectives
私が採用されたのはSeniorではないレベルのCreative Technologistのポジションで、要求される年数は違うものの、概ね同等の内容だったと記憶しています。
お仕事する環境について
以下はUXチームについての話です。多分チームによって異なる場面もあると思うので参考程度に、という感じです。
レベル
当たり前ですが周囲のエンジニアのレベルがめちゃくちゃ高くてビビっています。頑張らねば……。
待遇
いわゆる「外資系IT企業」に準じた給与水準・評価体系だと理解しています。ポジションや経験によって給与は大きく異なるはずですが、現時点の自分自身としては満足できる待遇をもらっていると思います。
もちろん給与はポジションや経験による差があるので「思ってたより高い」「思ってたより低い」はあるかもしれません。
労働時間
現時点での私はコアタイムなしのフレックスです。
フレックスとはいえ、北米メンバーとのミーティングが設定されると朝8時台にビデオ会議しなければならないこともあるため、朝が苦手な人はちょっと苦労するかもしれません。ただ、本社が日本なので日本時間で無理のある時間にミーティングが設定されるケースはあまり見かけません。
社内での英語コミュニケーションについて
社内のコミュニケーションは基本的に英語です(チームによるかもしれません)。 (私は社内公用語を英語とする会社を他に経験していないので、もしかしたら他社でも当たり前だよという事も多いかもしれませんが、私が感じたことを書いておきます。)
Slackでの連絡は基本的に英語ですが、重要な連絡(全社アナウンスなど)については日英が併記されます。専任の通訳さんも在籍されており、必要であればお呼びすることもできるようです(お呼びしたことはないのですが……)。
私の所属するUXチームはほとんどの方が海外出身のため、日本語が使われる場面はかなり限定的です。
ただし、日本語母語話者同士であれば日本語コミュニケーションを行うこともあります。しかしながら1人でも非日本語話者が交じる場合(例えば2名の日本人で話しているところに非日本語話者の方がいらっしゃった場合など)では、自然と会話が英語にスイッチします。
ちなみに私はpart-timeで入社した際、在外経験が海外旅行を含めてゼロだったので(いわゆる受験英語の経験のみ*2)、ちょっと苦労しながら英語の環境に順応していきました*3。数ヶ月もすればビジネス面ではfluentではないもののきちんと話せるようになりましたし、1年もすれば雑談なども英語で諸々話せるようになってきたので、人間なんとかなるもんだなと思いました。もちろんbrokenな英語を喋っているだけなので、とても褒められたものではないかもしれませんが*4。
また、フルタイムであればDojoという教育プログラムが利用でき、社内で英語・日本語の講義が実施されています。
今後ともよろしくお願いいたします。頑張ってまいります。