クリスマスにベルーガを追うということ(その2)
大きな飛行機を追いかけた話の続き。宿と、神戸空港のこじんまりとしたラウンジで書いた記事。 なお、オタクゆえに航空機に関するマイナーな話が出てきてしまうのだが、細かい部分は読み飛ばしても差し支えない記事となっている。
- 2021年12月23日、夜の続き。
- 2021年12月23日、宿へ。
- 2021年12月24日、朝と昼。服とBE KOBE。
- 2021年12月24日、離陸。
- 2021年12月24日、ベルーガが来るはずだったのに……。
- 脚注
2021年12月23日、夜の続き。
この日、羽田(HND)から神戸(UKB)に向かうNH415便はエアバスA321neo(JA134A)で運航された(FR24)。
A321に乗るのは初めてかもしれないが、A320と大差ない気がするためワクワク感があんまりない*1。 とりあえず非常口座席が空いていたので24Kを指定した。単通路機だしA320とそんな変わらないだろう、足が伸ばせたらいいな、と。
よく考えたらこのシートマップの段階で気づくべきなのだが、実は妙な席を予約してしまったのである。
A320のノリで非常口座席にしよーって予約したら変則的配置でビビってる pic.twitter.com/j4xXvqUBNA
— Vitya(ryo-a) /d-pnd (@geo_vitya) December 23, 2021
R3ドア*2のジャンプシート*3の前である。A320では非常口といえば単に足元が広い座席といった程度でしかないのだが、A321はそうでもないらしい。
個人的にジャンプシート前はちょっと苦手なため*4、今後は気をつけようと思う。A321乗る機会どれくらいあるかわからないけど。
とはいえブロックタイム*5で1時間15分程度、あっという間に着くのでさほど問題ではない。
到着したらデッキに向かう。なるほど、すでに航空ファンが集結している。 イルミネーションは展示されているが、クリスマスのムードなんてものはまったくない。
綺麗なイルミネーションだと思うじゃん いまここにいるの全員航空ファンです みんな一眼レフ持ってる pic.twitter.com/qXop3eAqks
— Vitya(ryo-a) /d-pnd (@geo_vitya) December 23, 2021
そしてベルーガ、4Y8004便はどこだ。FR24を見るとどうやら韓国・仁川国際空港(ICN)に向かっている気配がある。 というのもこれは覚悟済みで、FR24で表示されていた「神戸空港への到着時間」が明らかに神戸空港の門限(23時)を過ぎているのである。
ベルーガは高度を下げ、ICNへのアプローチコースに乗った。今日は来ないことが確定した瞬間である。
#4Y8004 seems diverted to RKSI due to the curfew of RJBE pic.twitter.com/tcivFTo8BP
— Vitya(ryo-a) /d-pnd (@geo_vitya) December 23, 2021
このときは神戸空港に降りることができそうにないため、ダイバート(目的地変更)をしたのだと思っていたが、どうやらこの経路は計画的だったという説が濃厚である。このように、定期便以外に関する情報はFR24を信用できるわけではないため、これから先はいわゆる「高度な情報戦」に巻き込まれていくことになる。
ICNへの着陸を見届けると、足早にポートライナーへ向かった。
2021年12月23日、宿へ。
宿はポートアイランドのアリストンホテル神戸を予約した。神戸空港に近い中でコストパフォーマンスが良かったから、というのが理由である。 古めだけど広くてよかったのでリピートしても良さそうだけど、神戸空港に用事がない限りは三宮近い方が便利かもしれない。
ホテルの最寄り駅について降りたが、夜の人工島ってちょっと怖い。 人がいないし、なにせ暗い。自分はそんな怖がりではないはずなんだけど。
マジで誰もおらん空間 pic.twitter.com/FTPLgjROyL
— Vitya(ryo-a) /d-pnd (@geo_vitya) December 23, 2021
到着後、コンビニで弁当を買い、風呂を沸かして寝た。ちなみに風呂はミスってお湯が溢れた。
2021年12月24日、朝と昼。服とBE KOBE。
5時台に起床してICN周辺でそれらしきフライトが無いかを確認した。なさそうだった。 とはいえICNから神戸空港(UKB)は1時間程度、準備を考えるとあまり時間がないのでいつでも出発できる体制を整える。
朝9時ごろの時点でICNのベルーガに動きがなく、長期戦になることを覚悟して延泊を決めた。まずは+1泊。 さて、やっとここで出てくるのがクリスマスである。そう、年間通して屈指のハイシーズン。宿泊料金が前日の2倍になるが、22年ぶりのベルーガのためなら仕方がない……。
あとはカメラ以外手ぶらで来たため、そろそろ服の調達をしないといけない。服買ってる間に飛んでくるなよ……と思いながら三宮のGUに向かった*6。
荷造りの高速化を支える現地調達(実際今シーズンの服が足りてなかったしちょうどいい機会ではあった) pic.twitter.com/gUbSkDG9Uj
— Vitya(ryo-a) /d-pnd (@geo_vitya) December 24, 2021
ここで突然、観光らしいこと……具体的には BE KOBE がしたくなった。あれって「する」ものなんですかね?いや、でもまあ「する」っぽい気が自分の中ではある。 BE KOBEとはメリケンパークに設置されている神戸の有名観光地(モニュメント)で、神戸のシビックプライド・メッセージである。 昨今、各地に増加している「巨大アルファベットモニュメント」の嚆矢であろう。
わたしは「BE KOBEする」と冗談っぽく言っているが、実は力強いこのメッセージが大好きだ*7。 BE KOBEを参考に作られたであろう、ほかの観光地巨大アルファベットはメッセージ性をどれほど真剣に考えているんだろうかとふと疑問に思う。
その後、なんか強そうな消防車がいっぱい並んでいた。子供みたいな感想で恐縮だけどそうとしか表せない。消防車に詳しくないのでこうなってしまう*8。 聞くと、どうやら出初式のリハーサルだそうだ。
なんかカッコいいのがおるな…? pic.twitter.com/WXroQVt3Oo
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あとは噴水の写真を撮って遊ぶなどもした。150-600mmのレンズで噴水を撮っていたので不審感は拭えないと思うが、一人旅なのでヨシ*9。
噴水。 pic.twitter.com/dogJiAmOs6
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2021年12月24日、離陸。
メリケンパークを後にしたそのとき、FR24の通知が入る。ベルーガが4Y8005便としてICNから離陸したとのことである。今度こそ神戸に来るらしい。 どうやら所要時間は1時間~2時間程度のようだ。余裕がないとはいえないが、一応早めに空港に着いておきたい。
メリケンパークから駅まではかなり距離があるため、タクシーを捕まえて一旦ホテルに戻ることにした。金銭感覚、すまない……今日だけは君のことを忘れるぞ……*10。 とりあえずここでカメラを回収して空港にポートライナーで向かう。
それはそうと4Y8005便は当初、行き先が大変面白いことになっていた。OBE……フロリダ州のOkeechobeeとなっていたのである。 これはOkeechobeeの空港コードがIATAコードではOBE、ICAOコードではKOBEとなっており、おそらくデータ入力者の誰かがKobe Airportをサジェストで叩こうとしてKOBE (Okeechobee) を入れてしまったのだろうと思われる。その後、程なくしてUKB/RJBEに修正された。
ICAOコードでKOBEって入れるとアメリカの空港 OBE が出ちゃうのよ(誰かが入力ミスったんでしょう)#beluga #BGA8005 pic.twitter.com/WeOlxsrabi
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2021年12月24日、ベルーガが来るはずだったのに……。
デッキに着いた。胸の高鳴りが凄まじく、何らかの試験に挑むときのような気分だった。
各地から駆けつけた航空ファンたちによってデッキは埋まっており、場所を確保するのも大変だった。
デッキでスマホを開き、FR24を見る。岡山上空、そろそろだ。
あれ、ベルーガさんなんか高度ちょっと高くないですか。神戸ってこんな進入方式だっけ。
あっ……これ……関空への進入経路(MAYAH ARRIVAL)っぽくない……?神戸来ないんじゃない……?
4000ftでウェイポイント「MAYAH」を通過した瞬間、上空を通過していく大きな機体が目に入った。
アァー(神戸空港上空を通過して関空に行ってしまわれました)#4Y8005 #BGA8005 pic.twitter.com/228GKOo3OS
— Vitya(ryo-a) /d-pnd (@geo_vitya) December 24, 2021
絶望する神戸空港の展望デッキ。そういえば地元局のテレビクルーもいましたけど大丈夫ですかね、怒られてないといいけど。
神戸空港は基本的に国内線用の空港で、CIQ設備が充実していない。そのため、一旦関西国際空港に降りたのだという。 ちなみにこのパターンは神戸空港にヘリコプターを輸送した他の機体でも実績があるらしく、その勘があった地元の航空ファンはFR24の「神戸行き」を無視して関空に張っていたらしい*11。
ということで読みを外した、あるいはFR24に踊らされたとも言える私の撮影は翌日に持ち越しとなる。 今回はここまで。
脚注
*1:A321というのはA320の胴体を延長した機種である。基本設計に大きな差はない。
*2:右側で前から3番目のドア
*3:保安要員であるキャビンクルーが、担当する非常口ドアの横に着座するための座席のこと。
*4:保安上の理由は承知なのだが、正面にこちら側を向いた他人が座っているというのがあまり得意ではないのかもしれない。離着陸時のみであるが。
*5:飛行機が出発地の空港で動き出してから、到着地の空港で止まるまでの時間
*6:と言いつつ、即時空港に戻るための体制は整えていた
*7:観光キャッチコピーではなく、市民に向けたメッセージなのである。そこがまた良い。
*8:逆に、航空機に詳しくない人が「エアバスA300-600ST ベルーガ」を「なんかでっかい飛行機」となるのもよく分かる
*9:一人旅は自分ひとりが不審者になれば済むが、二人以上であると「不審者の同行者」という扱いが同行者に及ぶ問題があり、客観的にヤバそうな行動は控えている。
*10:22年ぶりだ、という言い訳がある